全省庁統一資格とは?映像制作会社が官公庁案件に入札できる仕組みを解説
官公庁や自治体が発注する映像制作・広報PR動画の案件を受注したいが、どこから手をつければいいかわからない——そんな疑問を持つ映像制作会社やフリーランスの方にまず知っておいていただきたいのが、全省庁統一資格です。
結論からお伝えすると、「役務の提供等」区分の全省庁統一資格を1回取得するだけで、国のほぼすべての省庁・機関が発注する映像制作・広告宣伝案件の入札に参加できるようになります。申請費用は無料で、調達ポータルからインターネットで手続きが完結します。
この記事では、全省庁統一資格の仕組み・等級の意味・申請の流れを解説します。弊社(合同会社トルアス)自身も令和7・8・9年度の全省庁統一資格「役務の提供等」D等級(広告・宣伝/全国)を取得しており、実際に申請してわかったことも含めてお伝えします。
全省庁統一資格とは?官公庁入札に必要な理由
官公庁や国の機関が物品やサービスを調達する際は、原則として競争入札を行います。その入札に参加するには、あらかじめ「この会社は取引できる相手として信頼できる」と認められる審査を通過する必要があります。これが競争参加資格です。
以前は省庁ごとに個別申請が必要でしたが、現在は全省庁統一資格として一元化されており、1回の申請で衆議院・参議院・各府省・外局など国の調達機関すべてで有効な資格が得られます(2026年08月時点)。省庁が変わっても同じ資格証明書で入札に参加できるため、複数省庁の案件を狙う場合でも申請の手間が重複しません。
資格の種類は大きく2つに分かれます。
- 物品の製造・販売等:文具・機器・印刷物など物品を納品する場合
- 役務の提供等:広告・宣伝、写真・製図、調査・研究、情報処理、翻訳・通訳、ソフトウェア開発など、サービスを提供する場合
映像制作や広告PR動画の制作は「役務の提供等」の「広告・宣伝」区分に該当します。行政CMの制作・編集や自治体向け広報映像、官公庁の記録映像など、映像にかかわる国の案件を受注したい場合は、この区分での申請が入り口となります。
等級はA〜Dの4段階——映像制作会社はどの等級になる?
審査の結果、企業はA〜Dの4段階の等級に振り分けられます。等級が高い(Aに近い)ほど大規模な案件の入札に参加できますが、D等級でも市区町村・都道府県・国の出先機関が発注する広報映像や記録映像の委託案件には参加可能です。
等級の算定には「年間平均生産高」「自己資本金額」「営業年数」の3要素が使われます。創業から年数の浅い会社や小規模な制作会社では、概ねC〜D等級からスタートするケースが多くなります。弊社トルアスも現在はD等級(広告・宣伝区分)で全国を対象エリアとして登録しており、この等級からでも実際に案件情報を確認・参加できる体制を整えています。
等級は3年ごとの定期申請時に見直されます。実績を積み重ねて財務数値が改善されれば、次の申請時に等級が上がる可能性もあります。まずはD〜C等級で官公庁案件の経験を積むことが現実的なステップです。
申請の流れ——調達ポータルから無料で手続きできる
申請費用は無料です。財務省が運営する「調達ポータル(統一資格審査申請・調達情報検索サイト)」からのインターネット申請を推奨します。郵送・持参でも申請できますが、インターネット申請のほうが審査期間が短くなる傾向があります。
一般的に準備する書類は以下のとおりです(詳細は調達ポータルの申請書記入要項をご確認ください)。
- 申請書(調達ポータル上で作成)
- 法人の場合:登記事項証明書・直近期の財務諸表(損益計算書・貸借対照表)・納税証明書
- 個人事業主の場合:確定申告書・納税証明書
申請から資格取得まで、おおむね2週間〜1か月程度かかります。令和7・8・9年度の全省庁統一資格は随時審査を令和7年2月1日から令和10年3月10日まで受け付けており、資格の有効期間は令和10年3月31日までです(2026年08月時点・調達ポータル公式情報)。まだ取得していない場合は、できるだけ早めに申請することをおすすめします。
弊社が取得してわかったこと——映像制作×官公庁の可能性
弊社代表は長崎文化放送(NBC)で3年、鹿児島放送(KKB)で報道カメラマン・映像編集・VEとして在籍し、5年半のテレビ局キャリアを経てトルアスを設立しました。テレビ局在籍時から行政・官公庁が発注する広報映像やロケに携わってきた経験から、「映像制作会社として官公庁案件を正面から受注できる体制を作りたい」という思いで全省庁統一資格を取得しました。
実際に申請してわかったのは、手続き自体は思ったほど複雑ではないという点です。登記簿・決算書・納税証明書が揃っていれば、調達ポータルの案内に沿って進むだけで完結します。法人格または個人事業主の開業届があれば、映像制作フリーランスの方でも申請可能です。
また、弊社では鹿児島キャリアデザイン専門学校 映像科の非常勤講師も務めており、将来的に官公庁・自治体案件を目指す映像クリエイターの育成にも携わっています。官公庁入札の第一歩についてご相談がある方は、ぜひお声がけください。
資格取得後、どうやって案件を探すか?
全省庁統一資格を取得したら、実際の案件情報の集め方も把握しておきましょう。最も基本的な方法は、調達ポータルの「調達情報検索」機能です。省庁・地域・調達区分で絞り込み、映像制作・広告宣伝・PR動画制作にかかわる案件を探せます。
官公庁・自治体の映像案件には、プロポーザル方式(企画提案型)も増えています。プロポーザルは最安値ではなく企画力・実績・提案の質で評価されるため、テレビ局出身の映像技術や制作実績をアピールしやすい形式です。定期的に案件情報をチェックし、案件の傾向と予算感を掴んでおくと、いざ参加するときに動きやすくなります。
プロポーザル方式の詳しい仕組みや参加のポイントは、別記事「プロポーザル方式の動画制作案件とは?」でも解説予定です。あわせてご参照ください。
まとめ——全省庁統一資格は映像制作会社が官公庁案件に入る最初の一歩
- 全省庁統一資格は1回の申請で国のすべての省庁・機関の入札に参加できる資格(申請費用無料)
- 映像制作・広報PR動画は「役務の提供等」区分の「広告・宣伝」に該当する
- 等級はA〜Dで、小規模・創業年数が浅い制作会社はD〜C等級からスタートが一般的
- 申請は調達ポータルからインターネットで可能。審査期間は2週間〜1か月程度
- 令和7・8・9年度の随時受付は令和10年3月10日まで。有効期間は令和10年3月31日まで(2026年08月時点)
官公庁や自治体の映像・PR案件への参入を検討している映像制作会社・フリーランスの方は、ぜひお気軽にトルアスにご相談ください。実際に全省庁統一資格を取得・活用している立場から、具体的なアドバイスをお伝えできます。
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